買取を復旧させるには?
色はUTOの自慢ですが、一つの色のなかには何色もの色が入っていて、その色を形成しているのをご存知でしょうか?この話を初めて聞いたときは結構、感動しました。
カシミヤがわた染めであるということは知っていました。
糸染めは糸の状態で染めること、製品染めは製品を浴槽のなかで染めること、だからわた染めも浴槽のなかで普通にわたの状態で染めるものと思っていました。
でもカシミヤは、単にわたの状態で染めるだけではないんです。
よく色が浅いとか深いという表現を使いますが、カシミヤが淡くても深いしっかりした色目を出しているのは、わたを単にI色で染めるだけではなく、かたの状態で染めた何色かをブレンドしてI色を作り出しているからなんです。
例えば、毎年展開している定番色の赤。
この赤のなかには、3〜5色の異なる赤を混ぜ合わせています。
あるグレーなどは、黒、白、淡いベージュ、濃いベージュ、淡い紫、ブルーなどをミックスすることで、グレーの色を作っているそうです。
ブルーなんてどこに入っているんだろうと思いますが、こうすることで色に「深み」が出るそうです。
ブルーなどはきっと隠し昧なんてすね。
また、いろんな色をブレンドすることは、ロット違いによる色のブレを防止する役目も果たしているそうです。
色を選んで展開しているのはUTOですが、実際にこの色を作り出しているのは紡績会社さんです。
だから本当は、糸を供給していただいている東洋紡糸さんや小金毛織さんがすばらしいんですね。
でもこんなにまでして色付けをしても、紡績のロットが違うと同じセーターには使えないことが多いんです。
というよりほとんど使いません。
例えば、身頃を編んでいる途中で糸がなくなって、違うロットの糸を使った場合、微妙に色が違うことがあります。
まったく同じに色付けをしても、人間の目はその微妙さを見分けるんです。
何せ人は2万色を見分けるそうですから。
そんなことがないように、編む前にどのくらいの糸が必要かを判断しなければなりません。
とはいえ、セーターー枚を編む予定で230グラムの糸が必要なのに225グラムしかないようなことがよくあります。
そんなときは、新しいロットの糸を準備して編みにかかるしかありません。
もちろん、残糸は目付けの少ないセーターを編んだり、マフラーなどに使ったり、ボーダーにしたりして最後の最後まで大事に使うことは言うまでもありません。
なにせ値段が普通のウールの10倍もする糸ですから。
ファッションは、「一に色、二に柄、三に作り」といわれるように、色はとっても重要な要素です。
というより、色なしでファッションは考えられません。
とくにセーターは色が重要ですね。
いかにいい色に染めるか、染めの匠たちは日夜、腕を振るっています。
カシミヤで明るいクリアーな色を表現するカシミヤに限らず、繊維はわたの段階で染めたり(トップ染め)、糸の段階で染めたり(糸染め)、製品にした段階で染めたり(製品染め)します。
それぞれの目的に応じて染め方が違います。
カシミヤは、基本的にはトップで染められます。
トップで染まったわたと染まっていないわたを混ぜ合わせて紡績すると、微妙なメランジ効果のある糸ができます。
トップグレーなどはこの染め方の代表です。
また、カシミヤコートは個体差があり、白やグレー、ブラウンなどの色のカシミヤがいます。
これらの毛を生成りのまま使うこともありますが、ほとんどは何らかの色に染めることになります。
明度の低い色はブラウンやグレーの毛から染めますが、白やサックス、ピンクなどの薄い色に使えるのはホワイトカシミヤの毛だけです。
羊毛のように色を簡単に抜ければいいんですが、カシミヤの毛は繊細すぎるため、色を抜いて染色をすると傷んで風合いが落ちてしまいます。
UTOの場合は、明るいクリアーな色が多いので、ホワイトカシミヤを使うケースが多くなっています。
戦後、カシミヤ製品が販売されるようになった頃の色といえば、キャメルやワイン、紺、黒のような明度の低い色ばっかりでした。
当時はこれらの色が「カシミヤカラー」と言われ、「渋くてカシミヤらしい深い色」とされたものでした。
とはいえ、日本は外貨が少なかったため、買える糸といえばブラウンカシミヤかグレーカシミヤ。
ホワイトカシミヤなどは欧米に買われて、全然回ってこなかったのが実情だったようです。
そんな経緯もあって、UTOの明るく多彩な色をご覧になったお客さまは「カシミヤでこんなにきれいな色があるなんて」とよく驚かれます。
堅牢度と風合いの両方を成り立たせる技術を染め直しのできない糸は、早い工程で染めるほどリスクが高くなります。
もしトップ染めでわたを赤に染めたら、糸は赤。
もちろん製品も赤ですね。
一段階後の糸染めなら、トップ染めよりかなりリスクは低くなります。
目まぐるしく流行が変わる色は、製品段階まで引き付けて染めることができれば、それだけリスクが低くなります。
できれば閑散期に生成りでセーターを作って、シーズンに入って色の傾向がわかってから染めれば、絶好のチャンスをつかむことができます。
この夢の話みたいな製品染めを完成させたのがベネトンです。
これがベネトンの大躍進のきっかけでした。
革命的だったと思います。
しかし繊細なカシミヤは、そんな大胆な方法では風合いが台無しになってしまうため、不可能なんです。
染めの基本は、染料の入った熱湯に繊維を浸すことです。
色によって差がありますが、染料が繊維のなかに入っていくためには、ある程度の温度と時間が必要になります。
濃い色ほど長時間煮つめることになり、そのため黒や紺など明度の低い色は淡い色に比べると柔らかさがなくなってしまうんです。
色落ちしないように堅牢度を強くすると風合いが落ちるというように、堅牢度と風合いは相反する関係にあります。
UTOに糸を提供していただいている東洋紡糸さんでは、その両方を満足させるために、低温で染めるという特殊な方法を開発しました。
このように、UTOのカシミヤの品質は染めの匠たちによって支えられているんです。
しかし、こんな最高の技術をもってしても、色によって微妙に風合いの差が出ます。
もちろんカシミヤは、黒などの濃い色でも他の素材とは比較にならないほど柔らかですが、他のパステル系の色の糸に比べるとどうしても硬くなってしまいます。
同じ品番のセーターでも、色によって風合いが違ってきてしまいます。
色の匠たちはより良い色に、より良い風合いにと日々努力を続けていますが、それでもいかんともしがたい技術の壁があるんです。
んですよね。
でもどうしてもカシミヤは黒が一番人気ある今回は「ゲージ」の話です。
もちろん物差しや鉄道軌道のゲージの話ではありません。
このニットゲージを理解していると、ニットを扱ううえでとっても便利です。
セーターで、薄手とか厚手などは見た目や手に取った感じで違いがすぐにわかりますね。
薄手のセーターは細い糸で編み目が密に、厚手のセーターは太い糸で疎に編まれています(当然か)。
その薄手とか厚手を数字で表しているがこのゲージで、とっても合理的なんですよ。
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